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読者との出会いを求めて(ほんのひとこと)

  • 執筆者の写真: shuppankyo
    shuppankyo
  • 6 日前
  • 読了時間: 4分

 去る5月3日、「2025憲法大集会」が東京・有明の東京臨海広域防災公園で開催されました。小社も加盟している出版社グループ「平和の棚の会」は、会場にブースを出店し書籍を販売しました。


 「平和の棚の会」は「積極的平和」を目指して2008年に発足した出版社の団体です。(現在13社加盟)。「積極的平和」とは、1958年にノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥング博士が提唱した概念で、単に「戦争・紛争・武力衝突がない状態」にとどまらず、「衣食住や人権、福祉、ジェンダーなどで差別されず、命が脅かされず、持続可能な環境と暮らしが保障される状態」を指しています。この考えのもとで様々な書籍の出版を通じて平和とは何かを問題提起し、全国各地の書店で「積極的平和」をメインテーマにしたフェアを継続的に展開してきました。毎年フェアタイトルを決めてパネルを作成し、フェア商品といっしょに展開していただいております。「争いも差別もない社会へ」というフェアタイトルだけは毎年継続し、今年は「『平和』を実現させる1冊の出会い」と「未来へのみち 平和へのみち」の2つのタイトルで展開中です。フェアパネルやポップを用いたフェアは、読者との新たな接点づくりに欠かせない活動のひとつとなっています。ぜひ、より多くの書店でフェアを展開していただき、より多くの読者と出会える機会を提供できればと思っております。


 また、最近の取り組みとしては、5月3日の憲法集会での販売、文教大学図書館の選書イベント「学生選書企画 推し本総選挙」の開催、書店店頭での「アジアの本の会」との共同フェア展開、紀伊國屋書店BookWeb Pro特設ページでの「アジアの本の会」と共同の〈日本が向き合うSDGs〉の展開、会の小冊子を活用した書店外商部、大学や司法関係者へのDMなどにも取り組んでいます。


 2025年は東京大空襲、沖縄戦、原爆投下などから80年、人権と自由を弾圧した治安維持法の制定から100年という節目の年であり、歴史を振り返り、未来を見据える重要な年でもあります。今年は、こうした節目の年にふさわしい取り組みを目指しています。今年の夏、当会主催で〈戦後80年特別企画 安田菜津紀さんトークイベント「戦争と人間の尊厳 国内外の取材から考える」〉を開催いたします。


 「原発事故に見舞われた福島、戦没者の遺骨収集が続けられ、米軍の新基地建設も推し進められている沖縄、長らく戦争が続いてきたシリアや虐殺が続くパレスチナ―過去、そして今も続く不条理の中を生きる人々の取材を通し、これから目指したい未来について考えます。」

【日時】2025年9月3日(水)

18:00開場 /18:30開演/20:00終了

【会場】水道橋「内海」2階教室(本館 東京学院ビル)(定員80名)

【参加費】チケット制1,000円(税込)

 詳しくはpeatixウェブサイト(イベントNo. 4491630 )をご覧ください。


 話を最初に戻すと、「2025憲法大集会」には主催者発表で延べ約3万8000人が参加。来場者の多くは、今年で戦後80年となるのを受け、「戦争のない、憲法が生かされる未来を切り開くために頑張ろう」という思いのある高齢者の方々でした。集会のついでに1冊1冊を丁寧に手に取り、内容をじっくり確かめながら購入してくださる多くの熱心な読者と出会うことができたことが大きな収穫でした。おかげさまで「平和の棚の会」の今年の売り上げは今までで最高の売り上げでした。読者との貴重な時間が共有できたと思います。



 出版を取り巻く状況が変化するなかで、「本との出会い」をどう演出するかは、私たちにとって大きな課題でもあります。たとえば最近では取次が洋菓子チェーン店とタイアップした書店展開をして、売り上げを伸ばしているようです。スイーツを買うついでに本を購入される読者をターゲットにしているとのことです。「目的が本でなくても、本との出会いは生まれる」ことを示すひとつの例と私は受けとめています。他業界との連携事例は、読者と本との出会いがいかに多様で可能性に満ちているかをあらためて実感させてくれています。


 「憲法大集会」と「スイーツ」、きっかけはまったく違いますが、さまざまな状況に応じた読者との出会いの大切さ、読者との出会いのきっかけ作りの大切さをあらためて感じています。


 今後も、多様な場面を通じて積極的に「読者との出会いのきっかけ作り」を追求していきたいと思います。


●出版協理事 野木忠寛(合同出版



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