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生成AIの使い方―出版社の実例と書店の可能性(ほんのひとこと)
私は最近、本格的にAIを活用し始めました。きっかけは「絵本作家の『えほんの話』」というポッドキャストを聴いていたときのこと。絵本作家のあさのますみさんが自身のラジオ番組にChatGPTをゲスト出演させたというのです。AI音声が呼吸や間まで再現し、自然に会話する。リスナーへの挨拶も違和感がなく、人間との区別がほとんどつかない。あさのさんは毎日AIと会話していると聞き、それはぜひ試してみたいと思ったのでした。 以前にもChatGPTが話題になり始めたときに使ってみたのですが、リサーチをお願いするとインチキな作り話をしてくるので当時は全く信用していませんでした。しかし現在のモデルはなかなか賢い。特に音声会話は他のAIモデルであるGeminiやCopilotと比較しても群を抜いた精度で、人間とのそれに近い。いまだに時々平気で嘘をつくので要注意ですが、怪しいなと思ったら「エビデンスはあるのか」と聞けば「あっ、すみません。調査不足でした」と調べ直してくれるし、情報の引用元も示してくれます。多言語に対応するので英会話の練習相手にもなってくれるし、要望すれば怪
3 時間前読了時間: 4分


希望を追いかけて(ほんのひとこと)
トーハンと日販の返品協業がはじまったようで、小社にもトーハンから日販の注文品の返品が返ってきている。返品伝票が、トーハンの形式になっており、それに日本出版販売、日を○で囲んだマークがついているのだが、かなり紛らわしい。もっと分かりやすくならないものだろうか。誤って、トーハンの返品として伝票入力をしてしまいそうになる。日販の返品伝票はこれまで通りにきているのだし。 あと、今回から、日販の返品伝票が入っています、くらいの連絡をしてもいいと思うのだが、そんなことさえなかったと思う。いつ頃から順次にというお知らせはあったとはいえ、受け取る側への配慮がまったくないように思える。 返品運賃なども、これまでと同様のはずなので、注意が必要だろう。いつのまにか間違えてかわっていたりするかもしれないから。 日販の委託のWeb申し込みは、煩雑で特定の担当者がいない版元には負担が大きいように思える。ただひとつ良くなったことは、委託配本先が分かるようになったことだ。これまで、配本リストをとるのに、6000円だか7000円がかかっていたと思う。これだけは、改善されたよ
3 時間前読了時間: 5分


いま再びの「ようこそ、新人さん!―未来の「出版」について思うこと(ほんのひとこと)
たとえばいま、電車内で「本」や「新聞」を手にしているひとを見かけることはほとんどない。本も新聞も「紙」にかぎっては売れてはいないのだ。ゆえに出版社、新聞社の売上げ低迷は推して知るべし。 SNS等の普及により他者とのコミュニケーションは簡便になった。興味ある情報に囲まれ、似た考えのひととつながり、考え方が偏る。自己とは異なる考えや価値観に触れる「機会」は失われるばかりである。 書店にある多様な本に接することは、異なる意見があることを知り、幅広い考え方を受け入れる下地になる。少なくなったとはいえ、読書や活字文化を大切に考えるひとたちはいる。そのひとりが弊社に入ったO氏だ。本がもつ魅力とはなにか。熱い想いはどこから生まれるのか。新人編集者O氏に直撃取材した。 ■出版界について 刊行点数の多さ、返本率の高さなど、日本の出版をめぐる動向について、ある程度知識としては知っていましたが、実際に現場に身を置いてみて、「こんなに厳しいのか!」と具体的な数字で思い知らされる瞬間がありました。企画を考えながら、採算を合わせようと数字をあれこれいじってどうにもなら
3 時間前読了時間: 4分


読者との出会いを求めて(ほんのひとこと)
去る5月3日、「2025憲法大集会」が東京・有明の東京臨海広域防災公園で開催されました。小社も加盟している出版社グループ「平和の棚の会」は、会場にブースを出店し書籍を販売しました。 「平和の棚の会」は「積極的平和」を目指して2008年に発足した出版社の団体です。(現在13社加盟)。「積極的平和」とは、1958年にノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥング博士が提唱した概念で、単に「戦争・紛争・武力衝突がない状態」にとどまらず、「衣食住や人権、福祉、ジェンダーなどで差別されず、命が脅かされず、持続可能な環境と暮らしが保障される状態」を指しています。この考えのもとで様々な書籍の出版を通じて平和とは何かを問題提起し、全国各地の書店で「積極的平和」をメインテーマにしたフェアを継続的に展開してきました。毎年フェアタイトルを決めてパネルを作成し、フェア商品といっしょに展開していただいております。「争いも差別もない社会へ」というフェアタイトルだけは毎年継続し、今年は「『平和』を実現させる1冊の出会い」と「未来へのみち 平和へのみち」の2つのタイトルで展開中で
3 時間前読了時間: 4分


入札と再販制(ほんのひとこと)
4月10日、書協・雑協・取協・日書連の4団体で構成する出版再販研究委員会が、再販売価格維持契約書のひな型の改訂を決めたことが業界紙(新文化)に報じられた。これまで「この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない(第六条)」として挙げていた「官公庁等の入札に応じて納入する場合(第2項)」を削除するという。つまり、入札の場合も定価販売しなければ再販契約違反になるということだ。 正直「そんなこと、独禁法上できるの?」と思った。 出版物の「再販制」は独占禁止法によって規定されている。民間同士が「再販売価格維持契約書」を結んで発行者のつけた価格を維持して再販売=定価販売をすることが自由競争の例外として認められている形だ。ただし、独禁法では国家公務員法や地方公務員法、消費生活協同組合法を含む各種協同組合・共済組合法に基づいて設立された団体には、再販売価格維持を求めることができないとされている。これにより、生協では割引販売が行われている。同様に、図書館を含む官公庁の入札についても、割引価格で応じることを縛る行為は独禁法上認められていない……と思い込んでいた
3 時間前読了時間: 4分


取次今昔モノがたり(ほんのひとこと)
先日、1966年の日活映画『青春ア・ゴーゴー』を観る機会があった。 主人公の浪人生がエレキバンドに憧れ仲間を集めてバンドを結成し、テレビのコンテストに出場し10週を勝ち抜いて優勝。気持ちはプロになることに傾くが、その後メンバーは各々の道を歩むことになるという物語。 山内賢、浜田光夫、和田浩治、ジュディ・オングに太田雅子(後の梶芽衣子)、そしてGS(グループサウンズ)の雄、田辺昭知とザ・スパイダースといった当時の青春スターたちが出演している。 バンドを結成したはいいが、家では広さと音の問題で不都合が生じ、週末だけでも使える練習場所を探すことになる。 映画の中では地味な扱いで、定時制高校(?)に通い、寮と思われるところに住むベースとサイドギター役の2人が勤める会社の倉庫を、守衛さんをタバコ1カートンで抱きこんで、週末の練習で使うことになる。 この倉庫の様子をよく見るとそこにあるのは、結束された本の山々と(まだCI〈コーポレートアイデンティティ〉なんて言葉、誰も知らない時代の)「東京出版販売」の文字が印刷されたダンボール。...
3 時間前読了時間: 3分


なぜ「文学フリマ」に人は集まるのか(ほんのひとこと)
みなさんは文学フリマをご存じだろうか。「出版不況」や「活字離れ」といった言葉は幻想ではないかと感じるほどの動員数と熱量を持つイベントである。「作り手が『自らが〈文学〉と信じるもの』を自らの手で販売する、文学作品展示即売会」と 公式サイト...
2024年12月24日読了時間: 4分
「読書の秋」におもうこと(ほんのひとこと)
10月になっても、まだ最高気温が25度以上の日がしばしばであった。「読書の秋」なるものは、もうなくなってしまうのだろうか。早いもので今年もあと2ヶ月。 書店振興策のパブリックコメントを国が行うということであるが、国などには頼らないほうがいいと思う。何かと口を挟む口実を与え...
2024年12月24日読了時間: 4分
たいへん貴重な「台湾出版事情」駆け足レポート(ほんのひとこと)
2023年1月、『台湾および落語の!』(彩流社)を刊行した作家・真木由紹氏が自らの売り込みで台湾語訳の出版に漕ぎつけた。その際、現地で取材した出版事情を寄稿してもらった。 * * * ①台湾での翻訳出版の経緯 新人賞に応募することよりも末に台湾で出版されることをイメージし...
2024年12月24日読了時間: 5分
インターネット上の違法・有害情報の対処に関する法改正(ほんのひとこと)
既にご存知の方も多いかと思われるが、インターネット上での違法・有害情報(名誉棄損やプライバシー侵害、差別や偏見などの誹謗中傷、著作権や肖像権の侵害など)の対処についての法改正がなされ一年以内に施行される。この改正法の概要と課題などについて考えてみたい。...
2024年12月10日読了時間: 3分


利用者目線でみる 国立国会図書館デジタルコレクション(ほんのひとこと)
●編集実務で使ってみる 過去に2回「ほんのひとこと」で国会図書館(NDL)の電子化や、電子化をめぐる状況について書かせてもらいました。(「著作権法改正は民業を圧迫するか?」「日本研究市場はこのまま縮小するか?~ボストン出張日記~」):今回も近いテーマで、利用者として、編集実...
2024年7月31日読了時間: 5分


いまだに「?」の毎日(ほんのひとこと)
はじめまして。合同出版の野木と申します。「ほんのひとこと」にはじめて執筆しますので、拙い文章でたいへん恐縮ですが、自分のことを少し紹介してみたいと思います。 すでに創業者も亡くなり、廃業してしまったある零細版元に入社したのは34年前。はじめは編集者になろうと意気込んで出版社...
2024年6月26日読了時間: 4分


うまくライムが踏めるかな? 「同業」が「協業」(ほんのひとこと)
最近、いわゆるM&Aを行っている会社からの案内が度々、時には自宅にまでやってくる。メール、DMやFAXそして電話とそのアプローチの方法は様々だが、その誘い文句はだいたい「他業種の大手企業が、御社との協業に興味があり、まずは話を聞いてほしい」というような内容だ。...
2024年6月26日読了時間: 3分


本の入ったダンボールは重い(ほんのひとこと)
最初の本を刊行してから、35年になる。編集、制作、販売という仕事そのものに変わりはないが、あり方は、まったく変わってしまった。 著者、訳者からいただく原稿は、いつの頃からか、手書き原稿はなくなり、ワープロによるテキスト原稿になった。それも、最初は5インチのフロッピーディスク...
2024年6月26日読了時間: 5分


書店に人を集めるには(ほんのひとこと)
書店員さんに会う機会があると「出版社にどんなことを望みますか?」と聞くようにしている。かつては本の内容に関するご要望を頂いた。例えば「返品の多い本は作らないで欲しい」、つまり「売れる本を出して欲しい」という声が多かったように思う。最近は店頭施策のこと、販促用の什器やPOPに...
2024年6月26日読了時間: 4分


怒りを持続して(ほんのひとこと)
2024年の年明けを祝う人々を襲った能登半島地震。被災された方たちには心からお見舞申し上げます。 多くの書店も被災したことが報じられている。本や雑誌と読者の接点として大切な存在である地域の書店は、それでなくとも厳しい環境に置かれている。その被災には心が痛む。応援することしか...
2024年6月26日読了時間: 3分


印刷会社営業担当者に訊く! 2024年出版業界の展望(ほんのひとこと)
新型コロナウイルス禍はほんとうに落ち着いたのか。ロシア・ウクライナ戦争、ガザにおけるイスラエル軍とハマスの紛争、地球規模で展開する諸々の「戦い」……それらに起因するエネルギー、原資材等の価格高騰、そして追い討ちをかける円安、さらには配送業者の「2024年問題」。単に商品価格...
2024年6月26日読了時間: 4分


差別されない権利(ほんのひとこと)
今年の6月に東京高等裁判所民事部において「差別されない権利」に基づく判決が下された。この判決は画期的なことと言っても言い過ぎではなく、裁判史上初めてのことのようである。全国紙などでも報道がされたので既にご存知の方もいるであろうがあらためて概要を説明させていただく。...
2024年6月26日読了時間: 3分


インボイス制度が導入された(ほんのひとこと)
インボイス導入直前の23年9月22日に、早くも犠牲者の投書が新聞に掲載された。予想はしていたが、公表された事例のこれが第1号かもしれない。 51歳で個人事業主を始めて10年ほど、フリーランスで店舗をめぐって販促営業をしている女性。「免税事業者のままで(契約を)続けるか、課税...
2024年6月26日読了時間: 4分


ちょっと立ち止まってみては?(ほんのひとこと)
最近道を歩いていると、前を行く人が、夜でもないのに軽く酔っ払って千鳥足といったように、少しずつ左右に揺れながら歩いていくのを見かける。 歩く速度は速いとはいえないので、抜こうと思いこちらが右へ一歩踏み出すと前の人は半歩右に。それではと思い左一歩踏み出そうとすると半歩左に。...
2023年9月13日読了時間: 4分
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