昨2022年12月16日、岸田内閣は、「安保3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を閣議決定した。
3文書では、反撃能力=敵基地攻撃能力を保有することが明記されている。日本国憲法の平和主義のもとに、歴代内閣がとってきた専守防衛の立場を覆すものだ。
また、3文書には、防衛費について、今後5年間で43兆円の税金を投入することが明記されている。防衛費について長く政府が目安としてきたいわゆる「GDP比1%の枠」を撤廃し、2023年度予算では、同年度の文化庁予算要求総額と文部科学省文化芸術関連要求予算額の合計約2500億円の文化芸術費の25倍を超す6.8兆円もの防衛関係予算を計上し、2027年には「GDP比2%」へ倍増することを宣言している。
「敵基地攻撃能力の不保持」、「GDP比1%の防衛費枠」は、ともに、憲法の平和主義・専守防衛という立場を体現するものとして、広く認識されてきた。
その変更は、広く、深い国民的な議論を要する重要事であるにもかかわらず、国会の議論すら経ずに「安保3文書」を閣議決定することは議会制民主主義・財政民主主義、ひいては国民主権そのものに反するものとして見過ごせない。
私たち日本出版者協議会は、出版文化の発展を通して、多様な人々が共生していけるゆたかな社会が生まれることを求める。あらゆる戦争は、人々の言論・表現の自由を規制し、決して創造的な出版文化の発展とは相容れない。私たちは戦争に与しない。
「戦争放棄・専守防衛」から「軍備増強・敵基地攻撃」へ。岸田政権の閣議決定による憲法の平和主義からの逸脱に強く抗議し、防衛費の大増額およびその財源確保のための増税に反対するものである。
以上
2023年2月22日
一般社団法人 日本出版者協議会
会長 水野 久
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